アジア・ナンバー・ワンのレストランってどんなところ? ~バンコク編

9月15日

朝、体調はだいぶ回復。9:50の便でバンコクへ移動(TG304)。オフラインでオペレーションされている航空会社を体験した後だったので、タイ航空が信頼のブランドに感じられた。スワンナプーム空港のエアポート・リンク(空港と市内を結ぶ高速鉄道)の駅でキャッシングしたところ、5%も手数料を取られた。近年どこもATMの手数料が高くなっているように感じる。

バンコクは夫ともども大好きな街で繰り返し訪れて来た。したがって、一般的な観光には興味なし。今回は2泊と短いこともあり、サンペリグリノ&アクアパンナがメインスポンサーを務め、レストラン業界関係者の投票で選ばれる「アジアのベストレストラン50」2014年のランキングで1位になった「Nahm」で食事してみることが大きな目的。ホテルも利便性からNahmが入っているブティック型のメトロポリタン・バイ・コモ・バンコクを選んだ。

バンコクに来たら必ず行くのは、ワット・ポーのタイ・マッサージ。以前は開放的(暑いとも言う)な空間で、ハーブをくるんだ温かいボンボンを股関節などのリンパに当てて滞っていたものが「ジワーっと」流れる体験が何とも気持ち良かったのだけれど、ずいぶんシステマティックになってボンボンもなくなってしまった。

施術スペースもきれい。にぎわっていた。
画像の説明

マッサージ後のワット・ポーでお経をしばし聴く。修業中らしい若僧の中には、みんなに合わせて唱えないで手抜きしている子も。なんとなく微笑ましい。
ワット・ポー

1日目の夕食は、これもバンコク定番の「ソンブーン」。カニのカレー炒め、石鯛のしょうゆ蒸し、空心菜炒め。久しぶりの大好きなカニのカレー炒め。ヤンゴンで体調を崩し、少ししか食事をとっていなかったのでおなかがすいていたことも拍車をかけ、ハイ・スピードでガンガン食べた。
ソンブーン

ところが、店を出て、シーロムを散策しようと歩き出したら、何だか気持ち悪くなってきた。危険な予感がして散策は断念、タクシーでホテルへ戻る。部屋に着いたとたん、トイレで食べたものを一気に全部吐いてしまった。好物だったのと、これまで食べたものを吐くなんて経験をしたことがなかったのでショックだったが、すっきりはした。

さらに、何と、夫が夜中に水下痢になり、10回くらい起きては「シャーシャー」となる事態に!!

9月16日

朝になっても夫の水下痢が続いていたため、出かけるのは取りやめ、ホテルの部屋でゆっくり休養することに。お部屋にサーブされていたドラゴン・フルーツやバナナなどのフルーツと持参してきた人参茶で過ごす。人参茶は飲まれないままずっと家にあったものだが、がぜん活躍した。

ホテルはいわゆるブティック・ホテル。以前からあった建物を近年今風のホテルにリノベーションした物件。ホテルのアイデンティティとなるアロマがあって、ロビー階、スパ、各お部屋のアメニティなどで統一的にプレゼンテーションされる。アジアンな香りで楽しめた。

19:00「Nahm」へ。このレストランは、オーストラリア出身でロンドンの同名タイ料理レストランで成功、ミシュランの星も獲得したというデイヴィッド・トンプソン氏がシェフを務める。これまでバンコクで食べた高級タイ料理と言えば、宮廷料理の系統が多かったが、どんな料理なのか興味津々。

ホテルのロビー。モダンなインテリア。
ホテル

レストランのインテリアもモダン。料理はアラカルトにしようか迷ったが、一通りのものを試せるコースを選択。最初に出て来たのはアミューズみたいなもので、パイナップルの上にお米やナッツなどのボールがのっている。
アミューズ

前菜として出て来たのは4種類。全てフィンガーフード。何が入っているか食材を判別できないものも多かった。

おこげがベースになっている。
前菜

ムール貝のサテー。
前菜

干物味。からし菜包みで数種類のハーブが効いている。
前菜

パリパリした皮。
前菜

前菜はどれも初めて体験する組み合わせ、すっきりした味わい、軽くてヘルシーな印象で「おおー、天才!」と思った。レストラン・マガジンの「ベストレストラン」に選出されているお店へ行くと、お決まりのようにミネラル・ウォーターはサンペリグリノとアクアパンナが出て来るところが「何とも」な感じはするのだが。

ここからメインのお料理。タイ・スタイルということで何品もいっぺんに出て来て、ジャスミン・ライスと食べる(ブラウン・ライスも選べたが、私はジャスミン・ライスが大好きなのだ)。

タマリンド味?酸っぱさとバジルの風味が合体したスープ。
スープ

カニ・カレー。やさしい味。
カレー

エビとハーブのかき揚げみたいなもの。
エビ

エビとハーブのサラダ。揚げ玉ねぎがトッピング。
サラダ

玉ねぎと牛肉を炒めたもの。私はこの焦がした味はちょっと苦手だった。BBQ風のお肉は柔らかくて質のよいものを使っていると感じた。夫はグリーンの唐辛子をよけずに食べ、えらい目に遭うことに。なんと、私が辛いと警告してくれなかったせいだとのたまった。
お肉

バナナの葉に包んだ白身魚のココナッツ蒸し。この料理は大好き。サンフランシスコのベトナム料理のレストランでも毎回注文する。
白身魚

料理はコンテンポラリーだけれども、タイ料理の三要素である甘い・酸っぱい・辛いがベースになっている。そこにフレッシュ・ハーブ、ナッツ、ココナッツが加わって軽さとともに食感のバリエーションを出している。うまみや味の奥行きを出すために、干エビや干物を多用しているように感じた。

料理には白ワインを合わせた。
ワイン

運ばれてきた料理はどれもおいしかったが、感動するようなもの、驚きはなかった。決め手に欠けるのだ。タイ・スタイルだと説明されたけれども、私は中華でも何でも一度に何品も供されると、お料理が冷めてしまったり、一番おいしいタイミングで食べることを逃してしまうのではないかと、とにかく「食べねば!!」という強迫観念に囚われてしまい、落ち着かないのである。だからこの落ち着かなさを感じたことが残念だった。

デザート。ココナッツ汁の中はドリアンともち米。ねっとりした甘さは少し中和される印象。
デザート

なすときゅうりの中間みたいなフルーツにミント・フレーバーの粗い砂糖をかけたもの。さっぱりスッとした味。
デザート

蜜で甘く煮たバナナが入っている。右側は笹団子みたいなココナッツ・プディング。
デザート

ローカルなお客はほとんどおらず、白人客が大半を占めていた。欧米人が好むタイ料理なのだろう。サービスは習熟度が高くなく、洗練されていないと感じた。体調イマイチで臨んだことも影響したかもしれないが、このレストランがアジアでナンバー・ワンに選ばれるとは全く信じられない。東京だけでも、もっとハイレベルなお店はごまんとある。あらためてランキングの類は当てにならないと痛感した(2015年のランキングでは7位)。

辛口評価になってしまったが、コンテンポラリーなタイ料理へのチャレンジとしては楽しめた。次回は他のシェフのお店へ出かけ、タイ料理の世界が今どんな発展を遂げているのかをもっと体験したい。

(2014.9.15~9.17)

続いて、ジャカルタ編