憧れの地にやって来た~モロッコ編

10月7日

20代の頃からファッション雑誌の特集記事を見ては「行ってみたい」と憧れていた国、モロッコをようやく訪れることができる。

カイロからの飛行機(MS847便)がカサブランカに着いたのは午後2時。ところが入国審査の列がいまだかつてないレベルで進まない。やっと通ったと思ったら今度は荷物検査でまた行列。カサブランカからマラケシュへ鉄道で移動する予定であったが、結局予定していた列車に間に合わず、1時間後の列車に乗ることになった。

一等は満席で二等車に乗ったのだが、通勤時間にもかかってしまい、乗れないくらい混雑していた。東京の満員電車よりもぎゅうぎゅう。乗降口付近で立っていたのだが、トイレの中にまで立っている人がいた。すると必死で人をかきわけながら、おしっこがもれると訴えるお兄さんがやって来た。トイレへ入ることが叶わずすったもんだ。周りの人とあれやこれやのやり取りに俄然盛り上がる。地元の人は私に「貴重品に気をつけて」と声をかけてくれた。
列車

1時間くらい経過したところで座席に座れた。砂漠に夕日が沈み、月が出て景色を楽しめた。
景色

所要時間3時間のところ、50分遅れでマラケシュ駅に到着。宿泊するリヤド(伝統的なモロッコ建築の宿)に迎えを頼んでいたのでスムーズに移動できたが、メディナ(旧市街)の入り口で車から降り、リヤカーにスーツケースを乗せて歩いて行く。未体験ゾーンに入って行くような心持ちがした。

どこを歩いているのか全く見当がつかないまま案内の人について行くと「奥まった場所」にリヤド(リヤド・ライラ)はあった。パティオを囲んで部屋がある、こぢんまりとした宿なのだが、どことなく不思議な空間で迷路チック。

チェックイン後、早速マラケシュ名物のジャマ・エル・フナ広場に繰り出した。広場は屋台が並び、音楽が鳴り響いて期待どおりにぎわっていた。

ちょっと試すつもりがどーんと出てきたゆでエスカルゴ。あまり特徴のない味だった。
屋台

豆とパスタが入って酸味のあるスープ。地元の人に人気のようだった。どろっとしていて栄養ありそう。おいしかった(モロッコではこれを飲めば医者はいらないと言われる「ハリラ」という名前のスープと判明。トマトが入っており、とろみは小麦粉でつける)。
屋台

モロッコと言えばオレンジ。フレッシュジュースは搾りたてでおいしい。値段は1杯約52円。ジューススタンドがずらーっと軒を連ねている(違いはあるのだろうか?)。
屋台

音楽の輪がいくつもできていたが、なじみのないメロディとリズムの組み合わせがアフリカン。

10月8日

朝ごはんは、やはりオレンジジュースで始まる。
朝食

はちみつ、ジャム、バターをつけて食べるパンケーキ。お客さんごとに焼いて出してくれる。チャパティっぽい?
朝食

そして欠かせないのがミント・ティー。砂糖をたっぷり入れて甘くして飲むのが特徴。
朝食

朝ごはんはおいしかったが、冷たいジュースを飲んで室内のプールサイドに長くいたため、身体が冷えてその後調子が悪くなってしまった。

リヤドにはたいていルーフテラスがある。眺めがいいような雑然としてるような微妙さ。テラスで朝食をとる人も多い。
テラス

スーク(市場)へ散策に出発。豊富なオリーブ。
市場

お客さんが大量に買って行くハーブ屋さん。
市場

真鍮製品のお店。どこも専門店。欧米からの観光客が目立つ。数年前ロンドンの地下鉄駅に大きなモロッコ旅行のポスターが並んでいたことを思い出す。
市場

お菓子屋さんには飴がけされていそうな品が並ぶ。
市場

お皿。モロッコらしいデザイン。
市場

体調がすぐれなかったので、名所めぐりは夕方少しだけ。アーチの模様が印象的なアグノウ門。
門

宮殿類は残念ながら開場時間が終わっており見学できなかった。

ドライ・ハーブも種類が多い。
画像の説明

香辛料のディスプレイがアラビアン。
お店

赤茶色とのコントラストが日本人には新鮮に映る。
お店

リヤドの主人におすすめのレストランをいくつか教えてもらったのだが、あいにくお休み。体調もあって結局、2日目もフナ広場で軽く食べることになった。

夕方から様々な人々が集まり始める。
広場

ボクシングに人だかりができていた。
広場

昼間は何もない広場に屋台がだんだん集まって来る。
広場

へび使い。へびを身体に巻いて写真を撮って楽しむ。
広場

広場を見下ろすカフェで夕日を臨む。テラス最前列の争奪戦が繰り広げられていた。
広場

屋台で地元の人が一番集まっているように見えたのはじゃがいものサンドイッチ。昨晩は注文の仕方がわからず断念したが、今日こそはとトライ。他の人が注文する様子をひたすら観察し、方法を見出そうと必死にがんばったが、全くつかめず。時間ばかりが経過した。

すごいスピードで注文をさばいていた。
屋台

やっと注文できた。クリームチーズ、ゆで卵、じゃがいも、玉ねぎが入っており、ドレッシングソースをかけ、粗塩がパラパラとふってある。自分でも試してみたくなるシンプルな味。
屋台

屋台にもミント・ティーがある。角砂糖が大きい。
屋台

昨日飲んでおいしかったスープも再度トライ、別のお店に入ってみた。昨日は時間が遅かったため、なべ底近くなっていて濃度が高かったが、今日は早い時間帯だったので、割とさらさらしているように感じた。相席になったおじさんが、なつめやしのドライフルーツを分けてくれた。

レバーのソーセージ。豪快に火が上がり、煙がもくもくと立ち上っていた。ここも人気の屋台。
屋台

それを入れたサンドイッチ。トマトソース味。本当はさらにチリソースをかける。一生が辛いのを嫌がった(下痢するから)のでパスしたのだが、絶対チリソースをかけた方がおいしいだろうと思った。
屋台

屋台は地元の人々でにぎわうシンプルな料理を出すお店と、団体観光客中心の「モロッコらしい料理」を出すお店に二極化していた。後者は客引きも強力。私たちは結局、地元の人が多いお店ばかりをセレクトして食べ歩いた。

10月9日

いよいよサハラ砂漠への2泊3日のツアーに出発。4WDの車と運転手兼ガイドさん、私たち2人のプライベート・ツアー。現地の会社に個別手配した。

初めて新市街を通ったが、きれいに整備された街並みだった。郊外に出ると、オリーブ、アーモンド、くるみの木がたくさん生えており、空の青、岩山の茶、木々の緑のコントラストが鮮やかで美しい。

最初に寄ったのはタデルト(Taddert)の町。アルガン製品を組合で製造販売している。
アルガン

アーモンドを挽く臼を体験。
アルガン

挽きたてのアーモンドは香ばしくて美味だった。手にオイルをぬったがとても乾燥していたので、効き目ありそうだった。

オート・アトラス越え。4WDは標高高い道をガンガン進む。
道

ティジン・ティシュカ峠。皆この標識の前で記念写真を撮る。
峠

見たことのない景色の連続。結構あっという間にワルザザード近辺まで来た。
道

『アラビアのロレンス』のロケ地として使われたことでも有名な世界遺産、アイト・ベン・ハッドゥ。
遺産

お昼ごはんはアイト・ベン・ハッドゥを見渡せるレストランのテラスで野菜のタジン。欧米人のツアー客が多かった。
食事

要塞の中を散策。日干しレンガの古いクサル(要塞化された村)となっている。現在はベルベル人の5~6家族が居住するのみ、みやげもの屋が並び、映画のロケーションが度々行われている。
遺産

小川が流れる。丘からの眺め。
遺産

ワルザザードにはハリウッド映画の撮影所もある。
撮影所

ワルザザードで宿泊したリヤド・ボウシェドールはシンプル。ここもトリップアドバイザーの高評価を掲示していた。

宿の周りは何もないが、子どもたちが遊んでいて素朴。地元の少年たちはリヤドの壁に張り付いてWiFiを(無断で)使っていた。
宿

土に囲まれてどことなく殺風景な印象。
宿

夕食時に飲んだミント・ティーは、あんこを煮るときの煮汁くらい甘かった。

10月10日

サハラ砂漠へ向けて出発。ときどき城塞に囲まれたカスバが現れるが、基本的に砂漠をひたすら走る(通称カスバ街道)。
道

ツアーは途中ローズ・バレーに立ち寄り、ローズウォーターなどの製品を売るお店を訪れる。お店のおじさんの肌がつるつるで、ローズには効果があるのだろうと思ったが、パッケージが昭和30~40年代みたいにレトロなアフリカンだった。
道

山の斜面に表示されているのは、王室を称える内容などのスローガンだそう。
山

ひたすらドライブした先にあったのはトドラ峡谷。ひんやりと気持ちのよい川沿いの峡谷を歩いた。4WDで川の中を走るのを初めて体験し、うれしかった。
峡谷

お昼ごはんを食べたレストランの駐車場。欧米人はこんな砂漠でも自転車ツアー。驚異的なエコ志向(?)。走っている姿も見たが、景色の変化は少なく乾燥していて実にしんどそうだった。
ツアー

その後も、ところどころに低木が生えている平らな砂漠がどこまでも続き、ひたすら走った。

途中テントのようなものの周りに洗濯物などが干してある一角がいくつかあった。運転手さんが「ノマド」だと教えてくれた。日頃オフィスを持たないで仕事している私は「おお、これが元祖ノマドか!!」と感慨深かった。

16:30頃、遂にサハラ砂漠への入り口、メルズーカに到着。村の入口には門がある。
門

らくだトラックの拠点となるホテルに到着。私たちのために一部屋確保してあり、そこに荷物を置いてキャンプへ出かけ、翌朝戻ってからシャワーを浴びて休憩できるという仕組み。

ホテル内はあらゆるものが砂でザラザラした手触りで何だか落ち着かない。ミント・ティーを飲んで少し休む。今日キャンプに参加するのは何人かと尋ねたら、私たち二人だけという返答。一生は「貸し切りだー!」と喜んでいたが、私は少しビビった。

らくだに乗ってシェビ大砂丘(L’Erg Chebb)のキャンプへ出発。ベルベル人(先住民族)のらくだ引きのお兄さん(ムハンマド君)に私たち二人を乗せたらくだ二頭が続く。らくだには食物などキャンプ用の荷物もぶら下げている。
キャンプ

最初のうちは砂漠にペットボトルが捨てられているのが気になったりしていたが、しばらく行くと砂丘、ひたすら砂丘。大きなキャンプ地が現れて「意外に早く着いた」と思ったら、目的地はそこではなくあっさりと通り過ぎる。どこまで行っても砂丘が続き、カーブする流れが美しい。風が砂の地面にあたって舞い上がり、表面が変化する。

360°広がる砂丘の中、ムハンマド君と私たち二人にらくだ二頭しかいない。行っても行っても他の人間や動物を目にしないのだ。目印もなく自力で村に戻るのは不可能。動物や強盗に襲われたら一巻の終わりだと思う。「あー私のチャレンジも度が過ぎたか」と頭をよぎった。

そうこうするうち、大砂嵐が到来した。目を開けていられないくらいの砂と風。砂がばちばちと全身に打ち付けられ、自然の力を感じた。私は出発するとき、頭から日本の温泉旅館の薄いタオルをかぶっていたため、何とか砂嵐に耐えられたが、一生はそんな私のほっかむり姿を「変だ」と言って帽子しかかぶっていなかったため早々に飛ばされて、もろに砂を浴びた(髪の地肌にまでこびりついて、キャンプ後に落とすのが大変だった)。しばらくして嵐は止んだが、相変わらずキャンプ地は全然見えず、砂漠が続くのみ。

2時間近くらくだに乗り、やっとキャンプ地が見えたときはホッとした。隣にも他の会社のキャンプ地があったが、そこのお客さんも一組のようだった。砂漠は夏は熱くて近寄れず、冬が観光シーズンとのことで、シーズン前のお客が少ない時期だった。

私たちが泊まったテント。
テント

風で倒れてしまうので、椅子は倒して置いておく。食事はこのテーブルで取る。
テント

らくだは今日の仕事が終わってお休み。
らくだ

砂丘へ散策に出る。途方もなく広がっていた。砂なのでサッサとは歩けない。
砂丘

夕日を見に丘へ上がる。その辺一帯で最も高い砂丘に上るのはハードそうだったので断念した(ムハンマド君には上がって見て来いと言われたが)。欧米人が3人果敢にトライしており、強風で砂が直撃しているのを見た。夕日は雲が出ていたので真っ赤というほどではなかったが、日の入りをずっと眺めていた。
砂丘

キャンプ地に戻り、甘い紅茶で一休み、ホッとする。他の客がはしゃいでうるさいということもないのでとても静か。砂丘に囲まれてすごくぜいたくな空間が広がる。次第に夕闇が降りてきた。

30~40分後、ディナーが始まった。ムハンマド君が食事づくりも担当。ターバンを取ったらドゥダメルみたいなヘアースタイルで、最初は同一人物かわからなかった。

一品目、白いごはんに野菜の煮込みをかけたもの。ピーマン、トマト、なす、オリーブなど。カレー(クミン)味。最初これがメインだと思ってガンガン食べていたらメイン料理が別にあった。
食事

チキンのタジン。鍋の中心にチキン、その上にジャガイモを並べ、一番上ににんじん、ズッキーニ、なすを放射状に並べてある。味のアクセントはチリっぽいアリッサ。超おいしかった!量がたっぷりだったのと、一皿目を完食してしまっていたので、全部平らげられなかったのが残念。
食事

デザートはぶどうとざくろ。ざくろは酸っぱくなくプチプチしてジューシーだった。
食事

食事が進む頃、雲も晴れて満天の星空が広がった。360°にわたってはっきりとした星がびっしりと光っており、天の川もはっきり見える。ただただ広大な空の下に自分たちだけがいる。生涯で一番ぜいたくな旅だと思った。

いつまでも星を見ていたかったが、ただ一つの難点は、ずっと上を向いていると首が痛くなること。特に私は日頃首コリなのでつらくなってしまう。疲れてもいたので、朝早く起きることにして寝ることとした。

テントの中。ちゃんとベッドと電球(1個)がある。ちょっと蒸し暑い。始めは結構虫がブンブンしていたが、虫よけスプレーをシュッとやったらじき静かになった。もしスプレーがなかったら眠れなかったに違いない。
テント

10月11日

夜中に起きて星を眺めたかったが、動物に襲われたりするかもしれないと思い断念。猫なのか夜中にテントの上を動物がうろうろ動いている音がした。

5時に起きて外に出たら、昨晩は見えなかった月が出ていたが、雲も空全体に広がっており、星は見えなくなっていた。ガーン!!天候は移ろいやすかった。その後10分おきくらいに外をうかがう。途中カシオペア座と北斗七星だけ見えたときもあったが、基本的に雲におおわれていた。一晩中寝ないで星を見ていればよかったと悔やまれたが覆水盆に返らず。

6時出発と言われていたが、ムハンマド君がなかなか起きて来ず、6時40分ごろ出発した。日の出前だが月が出ていたので意外に明るく感じられた。ベルベル人は砂漠を暗い中歩いても平気だと言うので、道に迷うことはないのかと聞いてみたら「ベルベル人にとって星座はGPSだ」と答えた。「おおー、カッコいい!!」と感激する私たち。昨晩の料理もとってもおいしかったし、ムハンマド君は株が上がるばかり。

日の出は雲の間から一瞬だけ見えた。天気がよいときは全然違う体験になるそう。行きのらくだ乗りは慣れないしどんな展開になるのかとおっかなびっくりだったが、帰りは安心して楽しめた。ただし、ありえないくらいハエがたかる。かばんにも服にも一面が真っ黒に見えるくらい。そんなに多いと振り払う気も起きなくなるのだが、一生は私を見て「卵産んでるんじゃない?」と脅すのだった。

昨日通り過ぎた比較的村に近いキャンプはたくさんの宿泊者でにぎわっていた。バイクもたくさん停まっていた。

ホテルに着いてシャワーを浴び、朝食。「あー」という安堵の声しか出ず。

9:30頃フェズへ向けて出発。ひたすらドライブ、すっ飛す。途中ズィズ峡谷(Gorges du Ziz)などを通る。

岩の地層が面白い。
岩

山道で故障しているのかものすごい黒煙を上げ続けるバスが前を走っていた。そんな状態でも平気で走行を続けることにびっくり。そして午後もひたすらドライブ。フェズは遠く感じた。

18時頃ようやく迷路の街フェズへ到着。フェズはモロッコ最初のイスラム王朝の都であった都市。1000年以上も前に建設された街並が今も残っている。

メディナ(旧市街)の中は狭い、暗い、方向感覚がつかめない。雨が降っていたので、古い建物特有の「澱」みたいなものを感じた。

宿泊したリヤド(ダルファラッチャ・フェス)は迷路の先にあるフランス人のマダムが経営する、4部屋のみのこぢんまりとした宿。フランス人らしいコーディネートのインテリアで、アイテムが大ぶり。
リヤド

ミント・ティーは高い位置から注ぐ。
お茶

ファティマの手(魔除け)。ドア止めのデザインに使われていた。
リヤド

私は砂漠でのどをやられ、風邪の危険信号が点滅する体調だったので早く寝た。

10月12日

テラスで亀を飼っていた。
亀

朝ごはんはオレンジジュースで始まるモロッコ風。ふわふわでシロップがたくさんかかっているモロッコ・パンケーキが出た。

ルーフテラスからの眺め。おびただしい数のパラボラアンテナ。メディナの密集ぶりがよくわかる。
テラス

宿のマダムからメディナの歩き方について指導を受ける。宿に戻るための目印になるものは何か、どんな道順で行ったらよいのかなど。説明を受けてもちんぷんかんぷんであったが、途中のわかりやすい場所まで連れて行ってくれるというのでマダムのくれた地図を片手に出発した。

食べ物を売るお店が並び、にぎわっていた。野菜のお店周辺には香菜のいい香りが漂う。砂漠のキャンプで出て来たざくろもたくさん。
市場

マラケシュの朝ごはんにも出たクレープのようなもの。こうして焼くのか!
市場

ムスリムのヒジャーブ(スカーフ)。バリエーションが多い。
市場

商売人のおじいさん。
市場

とり肉屋さん。鶏を置いている。いろんな食材があった。
市場

食べ物だけでなく、いろんなスークがあった。

メディナの中心にあるカラウィン・モスクは残念ながらムスリム以外は中に入れなかった。

フェズの写真に多く使われるブー・ジュルード門。青と緑のタイルに彩られている。
門

この門まで行ってから折り返した。

サボテンの実を売る。ジューシーなフルーツ。
サボテン

丸い椅子のカバー。最初は何かわからなかった。
お店

たくさん吊るすディスプレイが多い。
お店

激しく降ってすぐに止むにわか雨が何回もあった。サファリーン広場に面する2階のカフェで一休み。
カフェ

リヤドへ戻る道はこんなに狭い。
道

夕ご飯は宿で取った。前菜は、カレー味のラタトゥイユ、きゅうりをスパイス(カレー味)で煮たもの、ビーツサラダ。
食事

ドイツ人の若いカップルと同じテーブルだった。サハラ砂漠のキャンプに行ってきたと話したら、「怖くなかった?とても怖くて行けないわー。危ない目に遭う人がいるってもっぱらの話だし」とのこと。そういえばメルズーカの宿の主人も、宿泊しているスペイン人がキャンプを怖がって行かないという話をしていた。やっぱりそういうことだったのかと納得できたが、ともかく無事でよかった。

私たち夫婦はクラシック音楽が大好きなので、これまで思い出せないほどドイツを訪れて来た。でも彼らは日本人にとってドイツが身近だったり、いろいろ知っていることが意外らしく驚いていた。

メインはケフタ(ラムのひき肉をミートボールにした)のタジン。トマトと玉ねぎの味だが、卵と混ぜるのでまろやかなになる。おいしくいただいた。基本何でもフランス基準であるため、量がガツンと出てきたりもせずお上品だった。
食事

デザートはカスタードの中にオレンジ・ジャムが入ったもので、とても甘い。香料が宿全体で使われているアロマのにおいと同じ気がした。
食事

結局、モロッコでは本格的なレストランで食事をせず、クスクスも食べる機会がなかったので、私には食べ損ねた感が残った。次のスペインでは、この分も取り返したいと決意を新たにするのだった。

宿のマダムと話したところ、リヤド経営も結構大変そう。夏は気温が40°で暑過ぎ、ラマダンの時期は使用人が集まらず商売できない、フランス人もアラブの国に来るのは怖がるなどなど。トリップアドバイザーやブッキング・ドットコムに宿のレビューを書き込んでとも頼まれた。旅行してわかったが、それらのウェブサイトは非常に多く利用されているし、旅行業に携わる人たちもそこで高評価を取る(維持する)ことに並々ならぬ努力をしているということ。日本語圏のウェブサイトと違ってレビューの数が100~1000単位になるので、それくらいの数が集まると評価が本当に参考になるのだ。これがインターネットの長所なのだと思う。

モロッコへの訪問は、当初はエキゾティズム体験を期待していたが、結果的にはサハラ砂漠の砂嵐とキャンプがあまりにもインパクトがあったために、盛りだくさんのハプニングに富む内容となった。アラブとフランスの文化が融合して独特の魅力を形成している都市、そして人口の約半分をも占めるベルベル人たちが今に伝える世界。モロッコはこれからも多くの旅人を魅了するのだろう。

(2014.10.7~10.13)

続いて、スペイン編 その1 バルセロナ・マドリッド編