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ニューヨーク・フィルのマーラー全集の販売サイトが秀逸

ニューヨーク・フィルがiPhoneアプリ発表、過去のコンサート・データベースの公開に続き、さよならマゼール記念で、2002年からマゼールと取り組んできたマーラーの交響曲全曲のダウンロード販売を開始しました。

現在1~5番までを販売中。残り6、7、9、10番が7月7日、8番が8月25日販売開始予定。

サイトの構成がよくできている

ニューヨーク・フィルのウェブサイトは、すっきり見やすい。今回の販売用サイトもボストン響のデジタル・ミュージックストアなどと比較しても垢抜けていてわかりやすくできていると思います。

特徴は、

  • 試聴ができる(結構長く聴ける)
  • ダウンロードの方法を6種類の中から選べる
  • ライナー・ノーツがカラーで力作
    マーラー本人とオーケストラの関係から語れるってすごいことだと思います。ブルーノ・ワルターを筆頭とする演奏史はじめ、資料や写真も充実。さらには

マーラーが使っていた第1番<巨人>のスコアがオンライン上で見られる!

これは楽しい。紙の古さとセロハンテープの変色が歴史を感じさせます。マーラーが使ったスコアは、ウィーン国立歌劇場が展示していたのも見たことありますが、拍子が変わるところに大きく「3」とか「4」とか書いてあって、人間のやることって大して変わらないんだなと思った記憶があります。

アメオケはこの方向に向かうのか?

今回のダウンロード販売は、過去にラジオ放送した音源を使用したもの。したがってオーケストラ側に新たなコストはほとんど発生しておらず、ウェブサイトのページを作るのにスタッフが数時間要したくらいの手間でしょう。

オーケストラの収益を多角化するという観点からは、今後他のオーケストラも続々こういうスタイルをとることになるのではないかと思いました(アメオケの多くは、地元のラジオ用にコンサートを録音している)。

仮にサンフランシスコ交響楽団がKDFCで放送した音源売ると言っても私は買わないと思うから、今回のニューヨーク・フィルもどういう人がこれを買うのか?という気がしないでもないけれど、マゼールとの間で何かを残しておきたかったのでしょう。試聴した限りでは、たまにマゼール的面白さを発揮していて「お~」と思うところがあります。

ダウンロード販売用サイト(資料もこちら)
iPhoneアプリ
演奏史検索(過去のコンサート・データベース)

(2009.6.25)