トップ>here
フィルハーモニア管の倉庫まるごと「春の祭典」体感イベント
今シーズンからエサ=ペッカ・サロネンが首席指揮者になったロンドンのフィルハーモニア管弦楽団から、早くもサロネンらしいチャレンジが出てきました。
ロンドンの SouthBank にある4階建の倉庫をまるごと使って、ストラヴィンスキーの「春の祭典」を参加・体感しようというイベント。その名も
re-rite
どういう内容かというと、サロネン&フィルハーモニア管の演奏を29台のカメラ(含む奏者のヘッドカメラ)で撮影、その演奏と映像を倉庫で流すのですが、やり方が面白い。まず、倉庫の各フロア内のスペースがヴァイオリン、ホルン、オーボエといった楽器やセクション別に分かれている。それぞれの場所を訪れた人は、そのパートの奏者が演奏しながらオーケストラの中で実際に聴いている音のバランスで聴けるようになっていて、奏者の視界も体験できるというもの。指揮者のコーナーでは、指揮者からはどう見えるのか、指揮を体験できたり、打楽器コーナーでは演奏に参加もできる。もちろん全体の演奏(通常の聴こえ方)を体験できるスペースもあります。
これは楽しい。
あれだけ音が多い曲で、各パートが何を弾いているのかという視点だけでも興味があります。また実際に奏者が聴いている音というのは、各パートで大きく違うはず。これをそれぞれ体験しつつ、同時に全体の中でどうなのかも体験できるというのは、ありそうでなかった画期的アイディア。
ロンドンは世界中からオーケストラが集まる大激戦区ですが、サロネンは何でも試してやってみるというアメリカのオーケストラの良い部分での経験を早速ヨーロッパでも生かしています。今は利用できるテクノロジーがかつてなく進歩したから、発想次第で面白い試みがいくらでもできる。その意味ではいい時代になったなあと思います。
今後も何が出てくるか楽しみ。
イベントは11/3~11/15
場所:SouthBank の Bargehouse
このイベントに関するフィルハーモニア管のサイト
https://www.philharmonia.co.uk/re-rite/
Telegraph.co.uk の記事
The Philharmonia Orchestra’s re-rite: a new way of listening to music
(2009.11.2)