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公共テレビのカンファレンスでMTTが基調講演

ボルチモアで開催されているPBS ショウケース・カンファレンスで、5月12日ティルソン・トーマスがキーノート・スピーチを行いました。

これは秋からの番組のお披露目を兼ねて、公共放送の今後を考えるというイベント。

現在、資金難とテレビのチャンネル乱立、視聴者行動の変化(ネットの影響等)という厳しい環境下にあるPBS。突破口に据えたのは、よりジャーナリスティックな報道番組、オバマ大統領の追い風がある科学番組、カルチャー番組だそうで、この秋のPBSのカルチャー番組といえば、ティルソン・トーマスのKEEPING SCOREということで登場の運びとなりました。

ボルチモアの地元紙のクラシック音楽評論の方が、ティルソン・トーマスにインタビューしていましたが、質問の仕方がうまかったのでしょう。MTTが言いたいことをうまく引き出していました。記事でティルソン・トーマスが話していたのは、

  • KEEPING SCORE の次のシリーズについて
  • ユーチューブ・シンフォニーをやってみての感想
  • 若い世代の感覚・行動とクラシック音楽界が提供しているもののギャップについて
  • 今の時代を踏まえた演奏する側のあるべき姿とは?

KEEPING SCORE の新作については、より映画っぽい作りになっていること(確かに3本それぞれが異なるトーンで一貫されている)、問題提起に対してミステリー調に追っていくのだけれど、答えは見た人それぞれが自分で考えるような内容にしたこと。笑ったのは、「あまりしゃべらないようにした」と自分で言っていたこと。誰かMTTに

あなたしゃべりすぎ

と言ったのか?(さもありなんではある) サンフランシスコ交響楽団はKEEPING SCOREに関して、「プログラムの改善につなげるためにあなたの意見を聞かせてください。」と集めていたから、MTTは自分の解釈を言いすぎだという声が複数寄せられたのかもしれません。私は端から「一つの見方」だと思って聞いているので気になりませんが、子どもも見ますから。

それにしてもKEEPING SCOREは、昨年はメイキングを小出しにし、今年に入ってからは完成品のさわりを披露して回っており、巧みなプロモーション。

この他の話題では、若者とのジェネレーション・ギャップの例として文字で書かれたものだと読まれないという話で、新聞について、薄っぺらいものになってしまったことに触れていました。やはり新聞に関しては日頃から言いたいことがあり、それが先日のニューヨーク・タイムズの読者からの手紙への投稿につながったようです。

クラシック音楽界がずっと続けてきた聴衆に音楽を提供するやり方や演奏する側のありように関して、ティルソン・トーマスが持論を述べています。

要するに、YouTube でも何でも、社会の変化に押し流されてから動くのではなく、アーティスト側から主体性をもって今の時代に何ができるか考えて行動すべきだということを言っています。

最近のMTTが考えていることがよく整理されている記事です(ニューヨーク生まれというのは間違っているけど)。→こちら

カンファレンスに関する記事はこちら

(2009.5.14)