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無料の野外公演から収益を上げる方法
9月24日、5回目の野球場での同時中継を行ったサンフランシスコ・オペラですが、過去4回開催したこの無料の野外公演を黒字化し、新しい聴衆開拓に結び付けているとウォール・ストリート・ジャーナルで紹介されました。
この同時中継は、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地AT&Tパークの大スクリーンにウォー・メモリアル・オペラハウスの公演を放映するもの。年2回開催され、毎回の参加者が約2万5千人。今回はシーズン・オープニングの注目公演「アイーダ」でした。
なぜ無料の公演が収益につながるかと言うと、参加者に事前登録をさせているから。
チケットは不要なのですが、グループの人数を事前登録するようになっており、登録した人は早い時間に入場できるようなっているのです。
この登録により、今までオペラハウスでオペラを観た経験のない人のメールアドレスを集め、イベント終了時の「良かった!」と盛り上っている時間帯にEメールで「イベント参加者限定」と銘打ってチケット半額等の特典をつけたオファーをし、その後もフォローをする。
この方法で野球場の公演への参加者から4公演で88万ドルのチケット売上があったそう。同時中継のコストが約80万ドルであったため黒字。
以前はシビック・センターのパブリック・スペースでも公演を行ったことがあるのだけれど、自由に出入りできる場所ではこのような事前登録もできず、また最後まで見ずに帰る人も出やすいため、無料公演と新規の聴衆開拓を結びつけることができなかったそう。
アメリカのオペラハウスは、METのタイムズスクエア中継をはじめ、多くが野外での中継を行っていますが、サンフランシスコのように顧客の捕捉に成功したところは少なく、この成功を受け、ワシントンなども会場を野球場にシフト。
記事では、サンフランシスコ・オペラが自前で中継を行うことでコスト・カットしたことや、野球と同じ雰囲気のままコンテンツだけオペラに変えたところが多くの人を呼び込んだことなども紹介されています。
- ウォール・ストリート・ジャーナルの記事
Opera Makes Free Simulcasts Pay Off
by JEANETTE BORZO
SEPTEMBER 16, 2010
- 私が見に行ったときのリポート
OPERA@the ball park
そのときもウェブ・マーケティングのうまさに感心したので、今回の記事は「やっぱり」と思いました。
(2010.9.27)