世界遺産でトレッキング~ヨルダン:ペトラ編

10月1日

ヨルダン2日目。長年、絶対に一度は訪れたい!と熱望していたぺトラ遺跡へ向けて朝9時に出発。昨日ホテルで手配した車で移動する。アンマンから延々と続く砂漠の中を飛ばすこと3時間、遂に遺跡の町へやって来た。
ペトラ

遺跡の入り口。ペトラ・ゲスト・ハウス・ホテルがある。ここに宿泊するのが最も便利なのだが、私たちはゲートから徒歩圏でエコノミーなキャンドルズホテルを予約した。
ゲート

ペトラ遺跡は紀元前1世紀~期限後1世紀にかけて建設された、古代アラブ民族であるナバタイ人の首都の遺跡。4世紀に起きた地震をきっかけに衰退し、19世紀に再発見されるまで忘れ去られていたが、多くのナバタイ、ローマ遺跡が残っている。1985年に世界遺産に登録され、世界中から人々が訪れている。

午後1時過ぎに遺跡へ出発。ゲートからシーク(岩山の裂け目の渓谷)の入り口まで距離があることから、馬に乗ることをガイドに勧められる。代金は入場料に含まれるものの高額チップを要求されて面倒くさかったが、背筋を伸ばして馬にまたがるのはなかなか気分がよく、道中は楽しめた。
遺跡

シークの入り口ではナバタイの兵士の交代セレモニーが見られる。
シーク

いろんな形状の岩が出現する。
岩

どこまでも続くシーク(1.2kmある)。
シーク

日なたは暑いが、岩壁に囲まれた道は冷んやりしている。
シーク

いつ現れるのだろうかと思いながら歩いていると、「インディ・ジョーンズ」の映画で見た柱が遂に目の前に。
柱

ペトラ遺跡で最も壮麗と言われるエル・ハズネ。葬祭の儀式を行うための墓あるいは葬祭殿のようなものであったとされる。岩山の上から下へ壁面を削りながら建造されたという。

午後だったので日陰になっていた。岩の建造物は迫力満点。前は広場になっていて売店もある。
遺跡

細かい装飾が彫られている。これまでに体験したことのない岩の空間に圧倒された。
遺跡

遺跡内は広いので人を乗せて運ぶらくだ、ろば、馬がスタンバイしている。エル・ハズネの前ではらくだに乗って写真を撮るのが人気。
遺跡

エル・ハズネの広場を抜けるとファサード通りへと続く。結構歩く。
遺跡

岩窟墓群。
遺跡

一つひとつデザインが異なる王家の墓群にある壺の墓。ファサードの頂点に壺の彫刻がある。
遺跡

中に入ると赤い石層が印象的。
遺跡

遺跡は広大。ひたすら歩く。
遺跡

ろばを利用する人も多い。
遺跡

1日目は神殿があるカスル・アル・ビントまで行って戻って来た。
遺跡

柱廊通り。青い空に円柱が映える。
遺跡

ベドウィンは本当に様になっていてカッコいい。
ベドウィン

ローマ円形劇場。劇場だが遺体を保存するための洞窟も多数ある。
遺跡

遺跡のゲート前にあるレストラン(Red Cave Restaurant)で夕ご飯。テラス席で食べたが、店内は洞穴のようなインテリア。
食事

ラムの粗びきミートボールと乾燥じゃがいもが入っているシチューのような料理。ごはんにかけて食べる。違和感なくおいしく頂戴した。
食事

夜は週3回行われている「ペトラ・バイ・ナイト」へ。遺跡のゲートからエル・ハズネまでがたくさんの蝋燭でライトアップされる幻想的なイベントだ。写真を見てどうしても体験してみたかったもの。

エル・ハズネ前の広場はろうそくで一杯になる。
ろうそく

参加者はござが敷かれた場所に順番に案内されて座る。イベントはエンターティナーみたいな語りのおじさんがいて、發弦楽器のウードが演奏される。渋い音楽だった。最後にミントティーが配られて飲み、イベントは割とあっけなく終わる。夜になると肌寒かったので温かいミントティーはうれしかった。

おじさんの掛け声でみんな一斉にフラッシュを焚いてシャッターを切ることでエル・ハズネの建物も写真に収めようというコーナーは盛り上がった。
遺跡

遺跡からホテルへの帰り道、狂犬病なのか挙動不審なのら犬がいて怖かった。

10月2日

翌朝ホテルの窓からの眺め。
眺め

2日目は9時から歩き始めた。朝の空気はひんやりと爽やかで、道に馬などの糞やゴミもなくてきれい。人も少なく歩きやすい。
遺跡

ガイドブックを見ながら、昨日よりも細かく観察しながら歩く。ナバタイ人は水路の技術に長けていた。
遺跡

午前中はエル・ハズネの正面に日が当たる。
遺跡

昨日と同じ道。
遺跡

今日の第一目的はペトラで最も巨大なモニュメント、エド・ディル(修道院)を訪れること。ペトラ博物館の先から800もの階段が続き、ひたすら上る。
遺跡

振り返るとダイナミックな景色が広がる。
遺跡

急な岩山が並ぶ。
遺跡

汗をかきながら歩いていく。ペトラは世界遺産見学というより、トレッキングだ。
遺跡

エド・ディルに到着。エル・ハズネよりシンプルな建造物だが大きい。
遺跡

エド・ディルを臨む茶屋からの眺め。すべてが広大なスケール。
遺跡

さらに細い道を見晴らし台めざして登っていく。

見晴らし台に到着。360°岩山。
遺跡

夫に私は運動神経が切れているから端に行ってはいけないときつく言われる。
遺跡

訪れた人が石を積み上げていた。
遺跡

麓まで戻ってきて休憩。
休憩

午後は昨日行かなかったルートを歩く。
遺跡

ペトラで最も規模が大きい大神殿。
遺跡

モザイクが残るビザンチン時代の教会。
遺跡

保存状態のよいモザイク。
遺跡

私たちが歩いていると、ドイツ人のハイカーのお姉さんが倍くらいのスピードでさっささっさと追い越して行った。この馬力の違いは何なのだろうか?体格?食べる量?トレーニング?

宮殿の墓(左)とコリント式の墓(右)。
遺跡

らくだ休憩中。どうやって足を折り曲げるのかを観察した。
らくだ

器用に折り曲がる。
らくだ

ホテルへ戻って休憩した後、近くのレストラン(Deeritna)で夕食。レンティル豆のスープ。そういうレシピなのか不明なのだが、豆のスープなのにドロッとしておらずサラサラ。
食事

メインは食べてみたかったベドウィン料理のマンサフ。イタリアンパセリと揚げたアーモンドを混ぜたごはんに柔らかく煮込んだラム肉が乗っており、ヨーグルトのソースをかけ、混ぜて食べる。じんわりしていておいしかった。飲み物ではレモン・ミントジュースがフレッシュで美味。
食事

念願のペトラ訪問は大変満足できるものであった。なぜかと考えてみると、実態がトレッキングであるため、自分の足で歩くことで体験が深まるからではないだろうか。そして何といっても雄大なランドスケープ。そのスケールの大きさと古の時代やベドウィンの暮らしに思いを馳せるタイムスリップ感が魅力なのだ。

ペトラは1日で急いで回るのではもったいない。最低でも2日は取って、ゆっくりと空間に浸るのが楽しい。

現状、ペトラはアクセスがよくないこともあり、アンコールワットのように観光客でごった返してはいない。何しろアンマンから、団体旅行ではなく個人だと、個別に車を手配するか、外国人にはハードルが高い乗り合いバスしかないのだ。近くに空港が建設されるときが来るのだろうか、そしてそのときはペトラも一変するのだろうか?とてつもない観光資源だから潜在力はあるけれど、秘境的な魅力も失ってほしくないと思うのは第三者の勝手な期待なのかもしれない。

(2014.10.1~10.3)

続いて、死海編